なんだか唐突に

思い出してしまった。
ドライヤーしながらぼーーーっと。




数日前に、覚悟していた方がいいかもしれないと言われてた。

その日の朝、始業後 朝イチで電話が鳴った。
先輩が対応して、「お父さんですか?」と聞き返した。
ついに来てしまった、と直感で思った。
「只今 お客様対応中ですので、ひと段落つきましたら折り返し連絡するようお伝えします」と先輩が返しているのを耳に、お客さんとのやりとりがまったく頭に入ってこなかった。

ひと段落すると名前を呼ばれて、やっぱりお父さんからだった。
携帯を取りに控え室に向かう時点で体の震えがとまらなかった

お父さんの携帯にかけた。
優しい声で出てくれた。

「さっきお母さんの携帯に連絡があってね、」
「うん、」
「もう、あと30分くらいだろうって。」
「ん、」
「お母さんはそのまま病院に向かったけど、仕事抜けられそう?
もし難しかったら、無理しなくていいから」
「、」

もう声にもならなかった。
電話越しでただただ泣くしかなかった。
お父さんの声がただひたすらに優しかった。
「大丈夫?」と聞かれて「うん」と声を振り絞って答えた。
でもその日は一人休暇だったから間違いなく抜けるのは無理で、それを伝えて電話を切った。

止められなかったけどなんとかして、やっと出て行ったら それを察してくれた局長が行ってきなさいと言ってくれた。
大丈夫です と言ったけど、でもその状態じゃみんなも気にしちゃうから…と。
ありがとうございます、すみません。と断ってすぐに着替えて職場を出た。


「あと30分…」
どう考えても間に合う距離じゃなかった。
だけどまだ、今この瞬間はまだこの世界にいるかもしれない。
そう思うと気持ちが焦った。バスがなかなか来なかった。

バスに乗り込んでしばらく頭が真っ白だった。

携帯のバイブがまた鳴った。
「今お母さんから連絡があって、さっき亡くなったって。だから、急がずゆっくり来なさい」
人目を憚らずバスのなかでひとり号泣した。

電車のなかでも
駅から病院までのタクシーのなかでも
ひたすらこの23年間のことを思い返していた。

一度だけ行った病院。
ナースステーションで名前を伝えると、すぐに案内された。

部屋に入ると、お母さんもお父さんもお嫁さんもいて、真ん中でママが眠っていた。


まだ、かすかに温かくて、せめてもの救いだった。
細い肩を撫でながら、顔を眺めながら、泣くことしかできなかった。





あれから1年半以上。
12月で2年。

時の流れは本当にはやい。

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